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デンマークの精神医療について,精神病院,地域精神医療班,精神障害者集合住宅・生活支援センターの三点に分けて報告する。総括的に述べれば,デンマークの精神医療は地域精神医療に重点がおかれ,ノーマリゼーションの理念に支えられていることが,印象的であった。
@ミドルファー精神病院
この病院は国立精神病院として1888年に設立された。1970年には1100床の病床を持っていた。1976年に国からフュン県に管理が移管された。これ以降脱施設化が進められた。しかし当初は現実問題として多くの精神障害の患者はその疾患ゆえに退院できずコロニー的状況で病院内居住状態にあった。
いわゆる社会的入院ということで20年以上在院する人が沢山いた。これは精神障害者にたいしては入院治療が中心であるという伝統的な考えの下で治療が終結しても在院する人が多かったことと,退院してもコミューンに受け皿がなかったことによるものだった。
1980年代から,精神障害者の社会的適応のための・受け皿作りが県・コミューンで始められた〕1985年には病院にはなお500人の精神障害者が入院していたが、その後社会復帰が促進され、1997年には75床まで病床が減少した。そして昨年(1998年)病院の移転・新築がおこなわれ病床は64床まで減少した。
地域的には、ミドルフアー精神病院はフュン島(人口50万人)にある3か所の精神病院の一つであり、島の西北地区、人口10万8000人の地域を分担している。病院内の構成は下記の通りである。
2単位の一般精神病床 38床 @20床(個室)
A18床(個室)
1単位の老人精神病床 8床 (個室)
1単位の犯罪精神病床 18床 (閉鎖・施錠)
64床
ディホスピタル 25床
病院の職員は20人の医師をはじめとして看護婦(地域精神医療班を含めて)・ソーシャルワー・作業療法士・理学療法士・社会介護士を含めて150人以上のスタッフがいる。
病院は治療・検査の機能に徹している。治療は薬寮物療法・精神療法・作業療法が主体であるが,集団精神療法や心理劇等は行われていなかった。病床は男女混合でありであり,一精神病棟は開放処遇である。また病室はすべて個室であった。
入院期間は・こ平均1か月程度であるが1年以上の人院患者者もいる。
犯罪精神病棟の場合は刑期?
が指定されていて,長期治療の可能性がある。この病棟は閉鎖処遇であり、以前の建て替え前の病棟ではドアや窓が二重構造になっていたり,管理の厳重さが目立っていたが,改築後はガラスを多用したりイメージを柔らかく配慮しているのが印象的であった。
入院治療についてはインホームド・コンセントに基づいて,医師から治療内容についての説明が行われる。一方で強制人院あるいは治療への切替えもある。退院については自己決定を重視している。PICUについてはフュン島ではオ−デンセに設置きれている。
入院患者では精神分裂病患者がもっとも多く60%を占めている。その他20%以上の気分障害(うつ病・そううつ病等)の他,10%位のボーダーラインの患者も入院している。一般精神病棟の年齢構成は22歳から65歳である。
入院が減少した理由については
@社会的入院が減少し、地域のなかでプライエムや居住区域に移っていったこと A自己決定の推進
B薬物治療を始めとして治療の進歩があげられた。
(2)地域精神医療班
精神障害者の地域一在宅生活を支えるために地域精神医療班が,各自治体に設置きれている。それぞれのブランチはミドルファー精神病院に設置されたセンターで集約されている。したがって病院と同様にフュン県の西北地区人口10万8000人を地域としているが,ここを2つのブロックに分けている。
1つはミドルファーを中心とした40000人の地域であり,もう1つは西北地区からミドルファ−を除いた6800人の地域である。後者には9の自治体を含んでいる。
病院におかれたセンターには,2人の精神科医と3人の地域精神医療看護婦と臨床心理士がチームを作っていて,オフィスは病院に併設されている。各自治体にはプランチの精神医療班が置かれていて,在宅介護課の職員とソーシャルワーカー・看護婦でチームを作り,それぞれ110〜120人の精神障害者を担当している。なおこの段階では医師は家庭医との連携が主となっている。
対象者の年齢は18歳から65歳の間であって精神分裂病患者が中心である。65歳以上は老人精神医療斑、17〜22歳は青少年精神医療班が管轄する。
地域精神医療班の中に,生活共同体(集合住宅)・支持センター・プライエム等が含まれている。
地域精神医療班に持ち込まれたケースについては,看護婦・ソーシャルワーカーがケースマネージメントを行う。その地域の地方自治体と処遇について話し合う。
障害者の居住の仕方などについては,当然当事者の自己決定が尊重される。地域での日常の精神科的治療は家庭医が担当する,看護婦は定期的に精神障害当事者に接触して,相談などを受る。月一回はケース検討を行っている。
またチーム同士でのケース検討も行っており,医師はスーパーバイザーとしてかかわっている。
(3)ミドルファー地区の精神障害者集合住宅と生活支嬢センター
これらの施設は地域精神医療班によって管轄されている。
住宅公団によって建設きれたアパー卜群の一画が.精神障害者のための集合住宅として利用されており、その中に生活支持センターが設置されている。
当初 この施設への入居は精神病院から退院をした精神障害者の入居が主であったが、最近は入院の経験がなくても入居する人がいる。
精神障害は精神分裂病患者が主であり、中毒精神病の患者は除かれる。人居者は自己能力を最大限択に利用し、また自己責任で生活をしている。
ミドルファ−のこの集合住宅には6人の男性と6人の女性が入居している(12部屋)、これに加えた1部屋は共通部分になっていて、生活支援センターの機能を有している。一人当たりのスペースは60平方mである。
入居者(住民とよばれる)は住宅援助金がでており,総領4200クローネのほぼ半額が支給される。その他年金支給があるので、住宅のためや生活全般の必要な出費を除いて1200クローネ(20000+α円程度か?)が手元に残ることになる。
生活支援センターには5人の職員がいる。すべて看護婦資格がある。夜間の勤務はない。あさ7時30分から夜9時までの勤務を分担している。金、土、日曜日は午後1時から7時までの勤務となる 5人の職員が2〜3名ずつ交代で,障害者の生活支援をしている。薬の管理などの医療に直接関係のある事のみではなく,買い物や金銭の使い方に至るまで,生活の支援をする。なお薬の自己管理が出来る人は12人のなかで2人しかいない。
午前8時30分に支援センターの食堂で共通の朝食を出している。各利用者の部屋にはホームヘルパーの派遣もある。12人の入居者の他に一般の住宅に居住している2人の精神障害者にたいしても,生活支援を行っている。
通院治療は家庭医によって行われる。1年間には入院を体験する人もいるが、入院期間は3週間程度である。病院のショートステイ的利用は減少している。
就労は社会で生活をしていく条件とは考えていない。一方精神障害の人々のためのワークショップが準備されていて,就労の準備や趣味を活かすことを支えている。入居者の中には30年間病院への回転ドア的入院を繰り返していた78歳の精神分裂病の女性も含まれている.
地域生活に対しての地域側からの反応として,それ以前に精神障害の人を受け入れた経験のないことでの困惑があった。特に高齢者の人々からの心配が多かった。従って一般の人々の意識を変えていくための情報の提供が大切であろと考えている。
幸いミドルファー地区は長く精神病院があったので,比較的精神障害者への差別感が少なかった。
生活支援センターで一番重要なのは,精神障害者と日常的に具体的に接触していくことが必要であり,その上で障害者一人一人が活動的になることを目指すことである。
なお夜間は職員に電話をしたり連絡をすることは禁止している。医療的なことは家庭医に連絡を取るようにしている。トラブルは警察に通報される。それぞれの利用者には日常的な給食サービスがあるが,週に2回は交流のために食事会をしている。
この住宅には,入居期間の制限はない。別に入居期間間3年の生活訓練のための中間施設がある.これらの入居については,家庭医からソーシャルワーカーに連絡があり調査をした上で,地域精神医療班の入居審査で決定される。
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